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立命館大学スポーツ健康科学部 スポーツ健康科学科 教授 真田 樹義 先生


サルコペニアとは、加齢による筋量および筋機能の低下として定義されている(Evans and Campbell 1993, Rosenberg 1989)。1998年にBaumgartner らは、DXA法による体肢筋量を用いたサルコペニアのカットオフ値を初めて報告した(Baumgartner, Koehler 1998)。体肢筋量とは、両腕及び両脚の除脂肪軟組織量の合計値を示す。四肢の構成成分は、主に体脂肪組織(概ね皮下脂肪組織)と骨格筋量及び骨組織の3成分であり、体幹部分のように臓器や内臓脂肪のような組織が含まれないことから、DXA法で求めた体肢筋量は骨格筋量を示す指標として広く知られている。Baumgartner らが示したサルコペニアのカットオフ値は、DXA法による体肢筋量指数(体肢筋量を身長の2乗で除した値)が用いられ、若年者の平均値と標準偏差を使って、その平均値よりも2SD以上低い値をサルコペニアと分類した。この時のカットオフ値は、それぞれ男性が7.26 kg/m2、女性が5.45kg/m2である。最近、我々は日本人成人男女を対象にDXA法による体肢筋量指数を用いたサルコペニアの参照値を報告した(Sanada, Miyachi 2010)。対象者は、国立健康・栄養研究所にある健康増進プログラムの疫学研究データベースに所属する20~40歳の男女529名である。健康な若年被験者のDXAデータは世界的にもまれであり、サルコペニアの診断基準を策定するうえで、本疫学研究データベースの評価は非常に高い。本研究の結果、日本人におけるDXA法を用いた体肢筋量指数の平均値と標準偏差は、男性が8.67±0.90 kg/m2、女性が6.78±0.66 kg/m2であり、サルコペニアの診断基準値は、それぞれ男性は6.87 kg/m2、女性は5.46 kg/m2となった。先行研究で示されたBaumgartnerらの値と比較すると男性ではやや低いが、女性はほぼ同じ値であった。韓国人を対象としたKimら(2012)の研究によると、体肢筋量指数によるサルコペニアのカットオフ値は、男性が6.58、女性が4.59kg/m2で、日本人のそれよりも低い値が示されている(Kim, Lee 2012)。サルコペニア保有率を年代別にみると,40歳代が5.5%,50歳代が1.3%,60歳代が1.5%,70歳代以上が6.4%であり、70歳からの急速な増加が認められる.厚生労働省が平成19年にまとめた「年齢階級別にみた要介護者等の構成割合」は,70歳代からの急速な要介護の増加が示されており、本研究におけるサルコペニア保有率の増加と一致している.
サルコペニアは、無意識に起こる老化現象であり、誰にでも起こりうるものである。そのため、カットオフ値の妥当性を判断する場合は、そのカットオフ値によって分類したサルコペニアが健康や介護関連指標との間に有意な関連性が示される必要がある。日本人成人男女を対象とした我々の先行研究では(Sanada, Miyachi 2010)、男女ともDXA法で求めたサルコペニア群の全身骨密度は、健常コントロール群よりも有意に低い値を示した(表1)。また、サルコペニアと血中グルコヘモグロビン濃度(HbA1c)との関係について比較したところ、腹囲はサルコペニアが有意に低い値を示したにもかかわらず、男性の場合、サルコペニア群のHbA1cは健常コントロール群よりも有意に高い値を示した(表1)。これらの結果から、日本人男性におけるサルコペニアは、腹部肥満のリスクとは独立して骨粗しょう症や糖尿病発症リスクと関連することが考えられる。
表1 DXA法の体肢筋量指数によって分類したサルコペニアと健康関連指標との関係

Waist C:腹囲、BMD:骨密度、SBP:収縮期血圧、DBP:拡張期血圧、baPWV:脈波伝播速度、TG:中性脂肪、TC:総コレステロール値、HDLC:HDLコレステロール値、HbA1c:グルコヘモグロビン濃度、MetS No:メタボリックシンドロームリスク保有数
PRODIGY
医療機器認証番号:21500BZY00582000
販売名称:X線骨密度測定装置 PRODIGY